以前のリビジョンの文書です
継続的出願(Continuing Application)とは、先の出願の出願日を引き継ぐ出願であり、以下の出願が該当します(37 CFR 1.53(b))。
一部継続出願とは、先の出願に開示されていなかった事項を加えて新たにする出願をいいます(37 CFR 1.53(b)(2))。新たに加えられた事項については先の出願の利益を受けることはできませんので注意が必要です(MPEP §201.08)。なお、日本の特許法において国内優先権を主張するためには先の出願から12ヶ月以内という制限がありますが、この一部継続出願は親出願の手続が終了等していなければいつでもすることができます。従って、出願後に補正では認められないような実施例の追加が必要となった場合には、このCIP出願を利用することを検討すべきでしょう。
分割出願とは、先の出願に開示された発明の一部を別途権利化するためにする出願をいいます(35 U.S.C. 121; 37 CFR 1.53(b)(1))。限定要求(restriction requirement)に基づいて出願されることが想定されています。限定要求に応じた後、分割出願の機会を逃して権利化しなかった発明については再発行出願によっても権利取得することはできなくなりますので(→ 73「再発行と再審査」参照)、権利化が必要な発明については必ず分割出願をしておく必要があります。なお、上述のCIP出願と異なり、新規事項の追加は認められません(MPEP §201.06)。
継続出願とは、先の出願が最終拒絶された場合に再度審査官に出願内容の審査をさせるためにする出願をいいます(37 CFR 1.53(b)(1))。上述のCIP出願と異なり、新規事項の追加は認められません(MPEP §201.07)。この継続出願を利用した場合には特許期間調整(Patent Term Adjustment:PTA)のための溜まっていた期間を喪失する(→ 71「特許期間」参照)というデメリットもあることから、最終状態(finality)を解消するためには継続審査要求(RCE)が用いられることが多くなっています。
継続的出願において先の出願の利益(domestic benefit)を受けるための要件は以下のとおりです(35 U.S.C. 120)。これらの要件を満たした場合、その発明について、先の出願の日に出願したのと同様の効果を有します(同上)。なお、日本の国内優先権制度と異なり、先の出願は取下げにはなりません。
(a) 特許を受けようとする発明が先の出願に第112条(a)(35 U.S.C. 112(a))の要件(ベストモード要件を除く)を満たして記載されていること
第112条(a)には、「明細書には、発明およびその製造や使用の方法を、当業者にとって製造および使用できるように、完全、明瞭、簡潔かつ正確な用語で記載しなければならず、発明者が最良と考える実施態様を記載しなければならない」旨規定されています。このうち、継続的出願の要件として必要なのは、(1)クレームをサポートする記載があり(Written Description requirement)、(2)クレームされた発明が当業者にとって製造および使用できるものであること(Enablement requirement)です(→ 43「明細書の記載要件」参照)。従って、先の出願でこれらの要件を満たしていない発明については、後の出願で要件を満たすように記載を追加しても先の出願の利益を得ることはできません。なお、最良の態様を開示していること(Best Mode requirement)については、2011年法改正により継続的出願の要件から削除されました。
(b) 先の出願の発明者名義において後の出願がされていること
この要件は発明者の完全一致を求めているのではなく、先の出願の発明者と少なくとも1人が共通していればこの要件を満たします(MPEP §201.03)。
(c) 先の出願が特許になるか、放棄されるか、手続が終了するまでに、後の出願が出願されること
先の出願について特許が発行された日と同じ日に、後の出願(37 CFR 1.53(b))をしてもこの要件を満たします(MPEP §201.11)。
(d) 先の出願を参照していること
明細書(37 CFR 1.77(b)(2))または出願データシート(37 CFR 1.76(b)(5))の中で先の出願を参照しなければなりません。