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米国(アメリカ)特許に関する丸島敏一による個人的メモです。適宜更新していく予定です。

書籍「MPEPの要点が解る 米国特許制度解説」の第3版が刊行されました。

クラフト国際特許事務所

MPEP

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出願の分類

 出願を分類するには色々な方法がありますが、ここではその代表的なものを列挙します。



「実用特許」と「デザイン特許」及び「植物特許」

 日本ではデザインに関しては意匠法により規定されていますが、米国では特許法において「デザイン特許(Design Patent)」として規定されています(35 U.S.C. 171-173)。優先期間が6ヶ月であることと他国特許による新規性喪失(35 U.S.C. 102(d))の期間が6ヶ月であること、そして特許期間が14年間であることを除いて、通常の特許の規定が適用されます。

 また、「植物特許(Plant Patent)」についても特許法の中で特別に章立てをして規定されています(35 U.S.C. 161-164)。記載要件については通常の特許出願よりも緩和されていますが、それ以外は通常の特許の規定が適用されます。

 これらデザイン特許及び植物特許以外の通常の特許のことを「実用特許(Utility Patent)」と呼びます。日本の実用新案は英語で"Utility Model"といいますが、米国の"Utility Patent"はあくまでもデザイン特許や植物特許と区別するための用語にすぎず、米国には実用新案制度はありません。

先の米国出願の利益を受ける出願(Benefit of earlier filing date in the United States)

 日本では先の特許出願に基づいて出願日を確保したまま別の特許出願をするには、国内優先権主張をするか分割出願をするくらいしか方法がありませんが、米国の場合には多様な手続があります。

 その中で通常の出願(37 CFR 1.53(b))として位置付けられるものとして「継続的出願、または、継続性のある出願(Continuing Application)」と呼ばれる出願があります(35 U.S.C. 120, 121)。これに属するものとしては、継続出願(continuation application)、一部継続出願(continuation-in-part application: CIP)、分割出願(divisional application)があります。

 一方、出願することなく継続出願と実質的に同様の効果をもたらすものとして継続審査要求(Request for Continued Examination: RCE)(35 U.S.C. 132(b), 37 CFR 1.114)があります。

 なお、通常の継続出願よりも簡易なものとして、継続手続出願(Continued Prosecution Application: CPA)の制度が利用されてきましたが(旧37 CFR 1.53(d))、2003年7月14日以降この制度を特許出願に対して適用することはできなくなりました。

先の出願の利益を受ける出願(Benefit of earlier filing date; right of priority)

 米国で特許出願をする際、外国でされた他の特許出願の優先権(right of priority)を主張することができます(35 U.S.C. 119(a))。パリ条約の同盟国(または世界貿易機関の加盟国)にされた先の出願から12ヶ月以内に米国に出願した場合、優先権主張をすることにより、先の出願に含まれる発明について先の出願時に出願したのと同様の取扱いを受けることができます。

仮出願(Provisional Application)

 正式な出願の準備が整う前に取り急ぎ出願をしておこうという場合、仮出願を利用することができます。この仮出願は権利化を前提としませんので、クレームの記載は不要です(37 CFR 1.53(c))。権利化を図るためには、仮出願から12ヶ月以内に、仮出願に基づく通常の出願(35 U.S.C. 119(e))をするか、仮出願から通常の出願への変更要求(37 CFR 1.53(c)(3))をしなければなりません。

 なお、この仮出願と対比して、特許権を発生させる通常の出願のことを特に「非仮出願(Nonprovisional Application)」と呼ぶことがあります(37 CFR 1.53(b))。

typ.txt · 最終更新: 2016/10/24 11:10 by marushima