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ibr [2015/09/29 18:35] marushima |
ibr [2016/10/24 11:08] marushima |
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====== 参照による引用 ====== | ====== 参照による引用 ====== | ||
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他の文献を参照して引用(Incorporation by Reference)することにより、明細書の記載内容を省略することが出来る場合があります(MPEP §2163.07(b))。この場合、対象文献を明確にした上で、「参照による引用」を行う旨を明細書中に明示する必要があります(37 CFR 1.57(c))。例えば、以下のような記載です。 | 他の文献を参照して引用(Incorporation by Reference)することにより、明細書の記載内容を省略することが出来る場合があります(MPEP §2163.07(b))。この場合、対象文献を明確にした上で、「参照による引用」を行う旨を明細書中に明示する必要があります(37 CFR 1.57(c))。例えば、以下のような記載です。 | ||
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===== 例外 ===== | ===== 例外 ===== | ||
ただし、規則改正により2004年9月21日以降は、優先権主張等を伴う場合には、明示されていなくても「参照による引用」がされているものとみなされます(37 CFR 1.57(b))。これにより、ページ抜けや誤訳等を救済することが可能となりました。\\ | ただし、規則改正により2004年9月21日以降は、優先権主張等を伴う場合には、明示されていなくても「参照による引用」がされているものとみなされます(37 CFR 1.57(b))。これにより、ページ抜けや誤訳等を救済することが可能となりました。\\ | ||
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また、2013年12月18日の特許法条約(PLT)批准に伴う規則改正により、出願データシートにおいて先行する出願を英語により参照することにより、明細書および図面を置換することが可能になりました(37 CFR 1.57(a), 35 U.S.C. 111(c))。\\ | また、2013年12月18日の特許法条約(PLT)批准に伴う規則改正により、出願データシートにおいて先行する出願を英語により参照することにより、明細書および図面を置換することが可能になりました(37 CFR 1.57(a), 35 U.S.C. 111(c))。\\ | ||
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===== 違反時の治癒 ===== | ===== 違反時の治癒 ===== | ||
これらの基準(37 CFR 1.57(c)-(e))に違反している場合であっても、審査終了までは訂正することができます(37 CFR 1.57(h))。すなわち、「参照による引用」の内容を明細書に反映させる補正を行うことができます(37 CFR 1.57(g))。\\ | これらの基準(37 CFR 1.57(c)-(e))に違反している場合であっても、審査終了までは訂正することができます(37 CFR 1.57(h))。すなわち、「参照による引用」の内容を明細書に反映させる補正を行うことができます(37 CFR 1.57(g))。\\ | ||
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例えば、米国特許出願の明細書において、日本出願の明細書の記載内容を「参照して引用」した上で、当該記載内容に基づいたクレームを作成した場合には、最初の拒絶通知において、審査官から補正を要求されること(37 CFR 1.57(g))が予想されます(MPEP §608.01(p))。これに対し、出願人は、補正により日本出願の記載内容を追加することができます(37 CFR 1.57(h))。\\ | 例えば、米国特許出願の明細書において、日本出願の明細書の記載内容を「参照して引用」した上で、当該記載内容に基づいたクレームを作成した場合には、最初の拒絶通知において、審査官から補正を要求されること(37 CFR 1.57(g))が予想されます(MPEP §608.01(p))。これに対し、出願人は、補正により日本出願の記載内容を追加することができます(37 CFR 1.57(h))。\\ | ||
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同様に、米国特許出願の当初には、日本出願の明細書を「参照して引用」した記載に基づくクレームを作成せず、拒絶通知対応の際にクレームアップした場合には、次の拒絶通知において、新規事項追加の拒絶となること(35 U.S.C. 112(a))が予想されます(MPEP §608.01(p))。これに対し、出願人は、補正により日本出願の記載内容を追加することができます(37 CFR 1.57(h))。但し、この場合、さらに審査を継続させるためにはRCEが必要となる可能性が高いと考えられます。 | 同様に、米国特許出願の当初には、日本出願の明細書を「参照して引用」した記載に基づくクレームを作成せず、拒絶通知対応の際にクレームアップした場合には、次の拒絶通知において、新規事項追加の拒絶となること(35 U.S.C. 112(a))が予想されます(MPEP §608.01(p))。これに対し、出願人は、補正により日本出願の記載内容を追加することができます(37 CFR 1.57(h))。但し、この場合、さらに審査を継続させるためにはRCEが必要となる可能性が高いと考えられます。 | ||