目次

特許期間

 特許権の権利期間(patent term)は、特許発行に始まり、原則として米国出願から20年をもって終了します(35 U.S.C. 154(a)(2))。



特殊な出願の特許期間

 先の米国出願の利益を受ける出願(35 U.S.C. 120)や分割出願(35 U.S.C. 121)の場合は、先の出願から終期を計算します(35 U.S.C. 154(a)(2))。また、国際出願を経た出願(35 U.S.C. 365(c))についての特許期間の終期は、国際出願日が起算点となります(35 U.S.C. 154(a)(2))。

 一方、優先権主張(35 U.S.C. 119)を伴う出願の場合の終期は優先日から起算するのではなく、あくまでも米国出願日から起算します(35 U.S.C. 154(a)(3))。また、仮出願(35 U.S.C. 111(b))に基づく通常の出願(35 U.S.C. 119(e))の場合の終期は、仮出願日から起算するのではなく、その通常の出願の出願日が起算点となります(35 U.S.C. 154(a)(3))。

特許期間に関する法改正(延長制度等)

行政規則による遅延に対する1984年法改正

 この改正事項は、1984年に製薬価格競争及び特許期間復活改正法により導入されました(MPEP §2750)。このときの改正は、(1)行政規則による許認可のために製品の市場投入が遅れることによって生じる特許期間の損失という特許権者の立場と、(2)特許期間満了後、即座に製品の市場参入を開始するために許認可のためのテストを特許期間満了前に行いたいという後発者の立場との衡平を図ったもので(Eli Lilly & Co. v. Medtronic Inc., 496 U.S. 661, 669, 15 USPQ2d 1121, 1126 (1990))、前者に対応するのが特許期間延長に関する規定(35 U.S.C. 156)であり、後者に対応するのが特許権の効力の例外に関する規定(35 U.S.C. 271(e))です。この前者の期間延長をするためには、許認可を受けた日から60日以内に延長出願を提出しなければなりません(35 U.S.C. 156(d)(1))。

GATTウルグアイ協定による1994年法改正(特許期間終期の変更)

 従前は特許発行から17年で満了するとの規定になっていましたが、1994年の法改正により1995年6月8日以降にされた出願については上述のとおり米国出願から20年を終期とするよう変更されました(MPEP §2701)。経過措置として、1995年6月8日時点で有効な特許権については、出願から20年または発行から17年のうち遅く満了する期間を終期とするよう許容されています(35 U.S.C. 154(c)(1))。また、1995年6月8日から2000年5月29日までの間にされた出願については、(1)インターフェアレンスまたは発明者決定手続、(2)秘密保持命令、(3)上級審による審査、という限られた原因により特許発行が遅れた場合において、5年間を限度として期間延長が認められています(37 CFR 1.701(e))。

米国発明者保護のための1999年法改正(特許期間の調整:PTA)

 上述のとおり、1994年法改正により特許期間は「出願から20年」とされましたが、審査が遅れた場合には従来の「特許発行から17年」の特許期間が得られないことがあり、米国国内で批判がありました。そのため、1999年法改正では、特許商標庁の手続遅延に起因して特許発行が遅れた場合に17年間の特許期間を保証するよう改正が行われました(35 U.S.C. 154(b))。

 この改正では、2000年5月29日以降にされた出願に対し、以下のように特許期間の調整(PTA:Patent Term Adjustment)を行っています(35 U.S.C. 154(b)(1))。なお、この調整期間は特許証に記載されます(37 CFR 1.705(a))。

(i) 特許商標庁の手続促進の保証
 (1)出願日(国際出願の場合は米国国内段階開始日)から14ヶ月以内に1度も拒絶通知または特許許可通知が発せられない場合、(2)出願人の応答または審判請求が提出されてから4ヶ月以内に何も反応がない場合、(3)特許可能クレームがあるにもかかわらず審決または判決から4ヶ月以内に何も処理がされない場合、または、(4)特許料納付から4ヶ月以内に特許が発行されない場合には、それらを超えた日数が存続期間に加算されます(35 U.S.C. 154(b)(1)(A), 37 CFR 1.702(a), 1.703(a))。

(ii) 出願日から3年以内の審査終結の保証
 米国への実際の出願日(国際出願の場合は米国国内段階開始日)から3年以内に特許が発行されない場合、それを超えた日数が存続期間に加算されます(35 U.S.C. 154(b)(1)(B), 37 CFR 1.702(b), 1.703(b)(1)-(3))。但し、RCE、インターフェアレンス、秘密命令、審判、出願人の要求による手続のそれぞれに要した期間は、この加算期間に含まれません(同上)。

(iii) 発明者決定手続等による遅延の調整
 発明者決定手続、インターフェアレンス、秘密命令、審判によって特許の発行が遅延した場合、それらに要した日数が存続期間に加算されます(35 U.S.C. 154(b)(1)(C), 37 CFR 1.702(c)-(e), 1.703(b)(4))。

(iv) 制限事項
 上述の加算期間が重複している場合には、特許の発行が遅延した実際の日数を超えないように計算されます(35 U.S.C. 154(b)(2)(A), 37 CFR 1.703(f))。また、ターミナルディスクレーマが提出されている場合には、放棄されている期間を超えて存続させることはできません(35 U.S.C. 154(b)(2)(B), 37 CFR 1.703(g))。

 また、出願人が「合理的な勤勉性をもって関与しなかった期間」は加算期間から差し引かれます(35 U.S.C. 154(b)(2)(C)(i), 37 CFR 1.704(a))。例えば、特許商標庁からの通知から3ヶ月以内に応答しなかった場合、それらを超えた日数は、差し引かれます(35 U.S.C. 154(b)(2)(C)(ii), 37 CFR 1.704(b))。また、継続的出願(Continuing Application)がされた場合にも、その継続的出願の出願日より前の期間は加算期間に含まれなくなります(35 U.S.C. 154(b)(2)(C)(iii), 37 CFR 1.704(c)(11))。また、特許法条約(PLT)批准に伴う2013年規則改正により、クレームを含まない出願であっても出願日が認定されるようになりましたが、出願日(国際出願の場合には米国国内段階開始日)から8ヶ月以内に審査を受ける状態になっていない場合には、加算期間から差し引かれます(37 CFR 1.704(c)(12))。

(v) 不服申立て
 特許期間の調整の決定に不服がある場合には、特許が許可されてから2ヶ月以内に再考(reconsideration)を要求することができます(37 CFR 1.705(b))。再考の決定に不服がある場合には、再考に対する決定から180日以内に、ヴァージニア州東部連邦地方裁判所に民事訴訟を提起することができます(35 U.S.C. 154(b)(4)(A))。